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レオタードコレクション No.27

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コレクション No.27 データ

メーカー ササキスポーツ
品番 #7189
サイズ M
素材 プリントツーウェイ(フルダル起毛加工)・プリント
ツーウェイベロア
カラー ブラック
備考 1995、1996年カタログ掲載モデル

構造観察

コレクションの特徴 胸のギャザー部分

このモデルは胸にギャザーが入る。 個人的にギャザーが入ったデザインが好みでないため、このモデルが初のコレクションとなる。
生地を寄せてヒダを作ったところをミシンで縫い、その裏側はヒダを束ねるように太目の糸で手縫いしてある。 とても丁寧な仕事だ。
コレクションの特徴 フルダル起毛加工のプリント生地のマクロ写真

フルダルとは化学繊維から艶を消したものを指す。調べると、原糸に酸化チタンやセラミックを練り込む事で糸が白濁し、光の透過や反射を防ぐとの事だ。 化学繊維の持つ艶や光沢を活かしたレオタードが多い中、「艶消し」という真逆の性質を採り入れた、珍しい素材である。
コレクションの特徴 更に寄って撮影したフルダル起毛加工のマクロ写真

起毛部分のフワフワとした繊維が見られる。 そのせいか色の境目が少し滲んでソフトな感じに映る。 ツルツルとした感じは無いが、あまり厚ぼったい感じもしない。 ただ肌触りという面では、白い部分は油絵具を載せたような、ちょっとザラザラした感触がある。

このレオタードについて

このレオタードはササキスポーツ1995年のカタログモデルで、その特色あるネック形状が物語っている通り、新体操向けにデザインされたレオタードである。
当時のカタログの中で「曲線的に連続する動きを、もっと美しく、もっと大胆に見せる新体操用のレオタード」という文言と共に、 「演技に変化をもたらすアシンメトリーなバランスを中心に、ポイントとなるネックバリエーションをさらに広げました」と紹介している通り、 左右非対称の大胆な切替えに、特色あるネック形状を採用したモデルとなっている。 このような一見不思議なラインをした切替えは、1990年代中期~2000年頃に多く見られたもので、しかもその多くがプリント生地とベロアの組合せであった。 そしてデザインのポイントだというネック形状は、1995年のカタログでは5つのモデルで採用されている。
つまり、このモデルは当時のトレンドの走りを盛り込んだ「欲張りな」モデルなのだ。

そんな時代のトレンドをふんだんに盛り込んだこのレオタードの特徴は、ズバリ「プリント生地」である。
デザインについてあれこれ紹介しておきながら生地に特徴があるとは意外かもしれないが、調べて見るとこれが中々面白い素材なのである。
まず、この素材(プリント生地)は「ツーウェイトリコット生地フルダル起毛加工・プリント」というもので、完全に光沢の無い「フルダル生地」である事に加え、 表面に起毛加工を施したというものだ。 カタログの解説によると「軟らかさと温かみを感じさせ、同じプリントデザインでもグンとソフトな印象に。コントラストの強い色使いでもフワッとしたイメージに仕上げます」 と紹介している。
レオタードの素材と言えば強光沢でツルツルの肌触りが持ち味だと思うが、敢えて「艶消し」を選択し、 しかも起毛加工という、従来の生地とは対極に位置すると言っても良い素材なのである。 それがフェチ的に響く素材かと言われれば違う気もしなくもないが、他のモデルには無い、特色ある素材である事は間違いない。