競泳水着コレクション

G-SUITS(Gスーツ)

Gスーツは糸を使用しない縫製処理「スーパーフラットプレス製法」を用いたモデルで、1998年に登場した。
肩ストラップ等、通常ゴムを使う箇所は生地とゴムを糸で縫い合わせているが、Gスーツでは糸を使わずに高熱圧着処理が施されている。 これによりフラットで且つ広い接触面積で皮膚にフィットし、締め付けが少ない着心地を実現した。 同時に処理部分の厚みを従来の約2/3まで薄くフラットに出来たことで、アクアブレード水着比で-1.2%という全抵抗の軽減にも成功している。 また、Gスーツ専用のゴム素材を採用したことで軽量化もされ、総重量は従来の約8%軽減したという。 Gスーツはそのデザインが評価され、1998年のグッドデザイン賞を受賞している。

マテリアルはストライプ状の撥水プリント加工を施したアクアブレードを採用し、レディスはハイレグモデル、メンズは競パンとスパッツの2タイプでスタートした。 スピードレッドと命名された眩しい赤をメインカラーとし、それまで濃色系が中心だった競泳水着に鮮烈なイメージを与えた。 (程なくしてスピードレッドは色味が異なるC.レッドへ変更された模様)
その後、アクアブレードⅡの登場に伴い素材を変更したが、全モデルを一斉に変更しなかったのが面白い。
まず、2000年に新規追加したレディス用スパッツモデル「レッグスーツ」と、メンズのスパッツモデルが先行してアクアブレードⅡを採用 (この時レッグスーツが2000年のグッドデザイン賞を受賞)し、 翌年の2001年にハイレグモデルと競パンモデルがアクアブレードⅡに置き換わった。 このように、一時期のカタログにはアクアブレードとアクアブレードⅡが平行で掲載される時期があった。
また、Gスーツテクノロジーは2000年に登場した新シリーズ「ファーストスキン」でも採用されており、カタログにもGスーツのロゴが誇らしげに掲げられていた。

Gスーツは2004年頃までラインナップされていたようだが、2006年に後継モデルとも言える シリコーンを接着して縫製を減らした「Eスーツ」が登場した。

G-SUITS コレクション

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G-SUITS 構造観察

G-SUITS Gスーツの肩ストラップの内側(肌に当たる面)
圧着処理のためフラットな仕上がりになっている。
AQUABLADE W 縫製による肩ストラップの内側(アクアブレードW、マーキュラインとの比較)
縫製糸の盛り上がりが狭い接触面積で皮膚を圧迫する。
フィット性の高いパターニングを採用すると縫製部が「線」で皮膚を押さえるため、感覚的に締め付け状態の強い印象の水着になる。
G-SUITS Gスーツとマーキュラインの肩ストラップ幅の比較
Gスーツが約18mm、マーキュラインが約16.5mmであった。
僅かながらGスーツの方が幅が広い。
G-SUITS Gスーツのウイークポイントは、最大の特徴である「圧着処理」部分だ。
劣化すると接着面が剥がれて分解してしまう。(画像は肩ストラップ部分)
生地とゴムの間に接着の糊面が見て取れる。
G-SUITS 劣化の様子(背中のクロスバック部分)
ゴムを生地で包んで圧着していたのがわかる。
G-SUITS 劣化の様子(肩ストラップから胸元にかけて)
劣化が広範囲に及ぶと、生地状態は良くても着用は不可能となる。
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