競泳水着コレクション

HYDRO TF(ハイドロTF)

ハイドロTFは従来品であるハイドロCDよりも生地を薄く、表面をフラットにした素材で2000年に登場した。
「小抵抗の限界とタフネスを追及した新素材」とカタログで謳っている通り、素材の薄さに加えて耐塩素性にも優れており、 劣化しにくい伸縮素材の採用と編み組織の改良により素材の損傷を軽減したという。
ハイドロTFの生地感触はサラサラとしていおり、伸縮性はあまり無いように感じる。これは同世代のX-FLATに近い印象である。

ところがハイドロTFは登場から僅か一年で姿を消し、2001年にハイドロTFⅡへとスイッチする。 異例とも言える短期間でのモデルチェンジのため、ハイドロTFの流通量は相当少ないと思われる。
TFⅡも「薄く、フラットで、劣化を抑えた素材」という同じコンセプトで登場したが、 生地組成はポリエステル60%-ポリウレタン40%(TF)から同65%-35%(TFⅡ)へと変更された。 また、TFⅡはP2で採用されたズレ防止機構、「Dステッカー」が一部モデルで採用されたのが外観的な特徴だろうか。
しかし同時期に登場し、大ヒットしたハイドロSPの影に隠れた感は否めなく、2003年のカタログを最後にハイドロTFⅡは姿を消したようだ。

2000年頃までの競泳水着開発と言えば、極薄でフラットな素材開発が至上命題であり、ハイドロTFは正にその流れを汲むモデルである。 結果だけ見れば「短命」の一言で片づけられてしまうが、紛れもなく時代が求めた競泳水着であった。

HYDRO TF コレクション

ALS300 ALS06R

HYDRO TF 構造観察

HYDRO TF ハイドロTFの素材感
強光沢ではないが、一目で滑らかで上質な素材であるとお分かり頂けるであろう。
ハイドロTFは非常に短命に終わったが、とても魅力的なマテリアルである。
HYDRO TF ALS06R(ハイドロTFⅡ)に付属のタグコレクション
シリーズの説明やカットの紹介など、競泳水着には様々なタグが誇らしげに付く。
TFⅡの生地組成はポリエステル65%-ポリウレタン35%で、旭化成のロイカを使用。
この他、取扱いの注意書きとDステッカーのタグが付く。
HYDRO TF Dステッカーは脇とヒップのズレ防止と胸からの水の侵入を防ぐ機能だが、このモデル(ALS06R)は脇のDステッカーが省略されている。
HYDRO TF ヒップのズレ防止のDステッカー。
外観的な特徴にもなっている。
HYDRO TF Dステッカーを内側から見る。
球面状のシリコンが肌に密着して水着のズレ等を防止する。
Dステッカーは生地の編み組織に埋め込んでいるのが特徴である。
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