競泳水着コレクション

P2(ピーツー)

水に浮き(比重0.91)、水を吸わないというポリプロピレン繊維を採用したのがP2(ピーツー)素材で、従来品よりも27%薄く25%軽量に進化した小抵抗素材である。
ポリプロピレン80%・ポリウレタン20%という配合が織り成す質感はマットで、生地感触はツルツルというより、僅かにザラつきを感じる。 これは横方向に生地の目がある(=縦方向の伸縮に富む)為で、生地を縦方向に撫でると指先に僅かなザラつきを感じ、横方向に撫でるとツルツルとした感触となる。
アシックスの淡色系は透けることで有名だが、中でもP2の透け感は特別で、濡れると「透明になる」という印象を受ける。

P2で採用されたテクノロジーに「Dステッカー」がある。 Dステッカーは水着のズレ防止のためのもので、胸、脇、ヒップに配置した直径3mmのドット状のシリコンが肌に密着し、 スタートやターン時に生じる水着のズレを防止する。 SPEEDOにもドット状のシリコンで水流をコントロールする「ヴォルテックスコントローラー」があるが、 DステッカーにはSPEEDOのような水流をコントロールする機能は無い。
この他、背ストラップにハイドロCDが使われていたり、一部モデルでは背ストラップのクロス部にメッシュ素材“ハイドロメッシュ”を採用したものもある。

P2の正確な販売時期は詳細な資料が無いため不明だが、調査すると1994年には製造されていたようだ。 尚、P2は2007年カタログでもチームオーダー扱いで掲載されており、非常に息の長いマテリアルであった。

P2 コレクション

ALS642 -

P2 構造観察

P2 構造観察 背ストラップ部分に注目
背ストラップの若干色が異なる部分がハイドロCDとなる。 P2に比べてハイドロCDの方が伸縮性があり、フィット感と着脱性に優れるため、部分的にハイドロCDを用いたのではないだろうか。
他にも背ストラップのクロス部分にハイドロメッシュを用いたモデルもある。
P2 構造観察 背ストラップ部分の素材表記
ALS642のタグにはストラップ部分の素材(ハイドロCD)の配合表記があるが、ハイドロCDを部分使いしてもタグに表記されないモデルもあるようだ。 また、全てP2素材で構成されたモデルが存在するのか、非常に気になるところだ。(継続調査中)
P2 構造観察 胸元と脇に配置されたDステッカー
Dステッカーは生地の編み組織に埋め込んだドット状のシリコンで、水着のズレと水の侵入を防ぐ、アシックス独自のテクノロジー。
スピードのボルテックスコントローラーのような、水着表面の水流に対する効果は持っていないが、 水着の外観的なアクセントという意味では近いものを感じる。
P2 構造観察 ヒップ部分に配置されたDステッカー
ヒップのズレは選手の集中力を乱す要因の一つ。これに対するアシックスの答えがDステッカーであったが、 採用されたのはP2とハイドロTF2の僅か2モデルだった。
P2 構造観察 Dステッカーを水着の内側から見る
表面はフラットに仕上げられたのに対し、肌に触れる水着の内側は球面状となる。
P2 構造観察 ホワイトカラーの透け具合
ドライの状態でも生地の下の文字が読めるほど透ける。 このようにP2は驚くほど透ける素材であるが、黒や紺でない限り確実に透けると思って差し支えないだろう。
冷静に考えると豊富なカラーバリエーションに疑問が湧く程、P2は変態的な素材であると言える。
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