レオタードコラム

第二回 レオタードメンテナンス <スナップボタン修理編>

オークションで入手したレオタードの首の後ろのスナップボタンが一つ取れていました。それもメスの方だけ。
ジャンク品でしたし、そのおかげで安く手に入れることが出来たので、文句は言えません。
同じサイズのボタンがあれば簡単に修理出来そう・・・という事で、今回はこれを修理します。
ついでにボタンが緩くなってしまったのも一着あったので、もう一つのケースとしてそちらも紹介します。

はじめに

作業前にスナップボタン(リングスナップ)の仕組みについて知っておきましょう。
リングスナップは「ツメ」という部品に凸形の「ゲンコ」、もしくは凹形の「バネ」という部品を組合せて使います。 「ツメ」と「ゲンコ」(もしくは「バネ」)の間に生地を挟み、ハンマーで叩いて部品を固定します。
fig.3にメーカーHPからの説明図を引用します。 メーカーによるリングスナップの取付け方が YouTubeで紹介されていますので 一度参考にされてみるのが宜しいかと思います。

<用意するもの>
・リングスナップ  ・補修布  ・ハンマー  ・精密ドライバー(マイナス) ・アイロン 


リングスナップは「サンコッコー」というブランドの リングスナップ10mmを用意しました。 初めて購入するなら「打具」というパーツが入っている方を選びます。

リングスナップは生地を「ツメ」で突き刺すので、スナップ交換の場合はその部分を補強する必要があります。 生地が黒や紺色なら ジャージ用(ストレッチ素材用)の補修布 を使うのが便利です。
→ 補修布に色が無い場合は近似色の生地から補修布を自作します

ハンマーは打具を叩く時に使います。別に何でも良いとは思いますが、ダイソーで販売しているパイプラックの組み立て用ハンマー <パイプハンマー(4オンス)>が小さくて使いやすかったです。
あとハンマーで打ち付ける時は固い物の上で打つのが良いので、丈夫な机や踏み台があると良いでしょう。

修理してみましょう

準備が整ったところで、早速交換したいと思います。


<作業手順>
1、交換するリングスナップを取り外す
2、補修布でツメの取付部分を補強する
3、新しいスナップボタンを取り付ける


作業手順はたったこれだけです。意外と簡単でしょ?

1、交換するリングスナップを取り外す
外れてしまったメス部分(凹)を取り付けて終了かと思いきや、買ってきたものと凸凹の大きさが微妙に異なりましたので、 残っているオス部分(凸)も取り外す必要がありました。
リングスナップを取り外すにはゲンコ(もしくはバネ)と生地の間にマイナスの精密ドライバーを差し込み、左右にこじるとツメが緩んで外れます。(fig.4) ☆ドライバーの先で生地を傷めないように!☆
2、補修布でツメの取付部分を補強する
リングスナップは生地をツメで突き刺すため、生地に穴が開きます。 そのまま新しいスナップに取り換えても生地が破れてしまう恐れがあるので、補修布で補強しておきます。(fig.5、6)
補修布はスナップのゲンコとバネを取り付ける面、つまり内側になる面に貼り付けると外から見えないので良いかと思います。 なので、レオタードの生地と補修布の色が微妙に異なっても違和感は少ないと思います。
ちなみに補修布のカラーラインナップは(fig.7)の通り。

このように色が合う補修布があれば良いですが、同じ色の補修布が無い場合はどうしましょうか?
私は「近似色の生地を買ってきて自分で補修布を作る」方法を取りました。
生地は手芸店で似た色のツーウェイトリコット生地を購入しました。(fig.8、9)
今回の修理では外から見えにくい部分にピンポイントで使うので、色はだいたい合っていれば気にならないと思います。 それとこの修理では左右にストレッチする必要が無いので、ワンウェイ生地(一方方向にしかストレッチしない生地)でも構わないと思います。
ただ、箔素材やプリント生地を修理する場合は似た生地を探すのは大変(というか不可能に近い)なので、基本的な色を合わせて修理するしかないのかな、と思います。
という事で、以下に自作の補修布の作り方を紹介します。

(2-b、自作の補修布を用意する)
・生地を使うサイズより少し大きめに切り出します(fig.10)
・そこにアイロン接着の両面接着テープを貼り付けます(fig.11)
  両面接着テープはこのようなストレッチタイプ を用意しました。
  このテープはアイロンを当てるまで密着しないので、それまでマスキングテープで仮止めしておきます。
・アイロンを当てて密着させます(fig.12) → 密着後はこんな感じ(fig.13)
  (アイロンを当てる時は当て布した方が良いかもしれません)
・はみ出した部分を切り揃えて補修布の完成です(fig.14)
・補修部分に当てて、アイロン接着しました(fig.15)

(2-c、番外編)
実はリングスナップを取り外す時、ツメが固くてなかなか外れず・・・。 強くこじっていたら生地を傷めてしまいました。(fig.16) そのリカバリーも紹介します。
と言っても生地の傷んだ部分に補修布を接着するだけなので、工程としてはツメの補強の時と同じです。
ただ補強布は破損した部分に対して片面でなく、両面に施す必要があります。 つまり外側から見えてしまう面にも補修するので、損傷部分が隠れる程度に、スナップより僅かに大きくなるように補修布を切り出しました。(fig.17)
まん丸に切り出せなかったのが悲しいですが(笑)、リカバリー後が(fig.18)です。
3、新しいスナップボタンを取り付ける
生地にツメを通す時は、ツメの奥までしっかり差し込みます。
そしてゲンコ(もしくはバネ)を乗せて打ち込みますが、固い場所で垂直に打ち具を叩く事でツメがしっかり噛み合います。 力加減で難しく思うかもしれませんが、しっかりトントントンと打ち込みます。

いかがでしたか?

文章にすると難しく見えるかもしれませんが、実際やってみるとい意外と簡単に感じるかもしれません。
スナップボタンは何回も付けたり外したりすると緩くなって、緩くなりすぎると外れてしまうものもあります。 簡単なメンテナンスでストレスなく着れるなら、リフレッシュ修理はアリアリのアリではないでしょうか?
もしこんなレオタードをお持ちでしたら、修理してみてはいかがでしょうか?
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